一途なショコラティエの溺愛にとろけているので、六股幼馴染の束縛はお断り!
 ――翌朝。

 私のためにたくさん頑張ってくれた彼を、喜ばせるため誘ったのに。

 結局私の方が智広さんにたくさん愛を注いでもらったような気がして……。
 なんだか、納得がいかない。

 シーツを手繰り寄せてそれに包まっていた私は、ぷっくりと頬を膨らませながら隣に座る彼を見上げた。

「おはよう。今日は随分とご機嫌斜めのようだな。昨日はあんなにも激しく、俺を求めていたのに……」
「納得がいかないだけです」
「何が」
「……智広さんに満足してもらえたか、不安で……」

 私の考えていたことは、彼にとっては想像していなかったことのようだ。
 智広さんは私を安心させるように長い髪を手繰り寄せ、一房掴む。

 そこに口づけたあと、彼は真顔で言葉を紡ぐ。

「そんなことで悩んでいたのか」
「やっぱり、そうですよね……」
「香菜がそばにいるだけで、俺は幸せだ」

 毛先の口づけはやがて、首筋、頬、額へと場所を変えていく。
 たくさんの愛を受け取った私は、先ほどまでの憂鬱な気持ちが吹き飛んでいくのを感じた。

「私も智広さんと、同じ気持ちです……」

 ――智広さんの妻になれて、本当によかった。

 いつかは私達の間に愛の結晶が宿り、賑やかになることだってあるかもしれないけれど……。

 しばらくは、二人きりがいいかな。

 苦労した分だけ、今は智広さんの愛を独占したい。
 そう思うから。

「香菜」

 過去はもう、振り向かない。
 未来に向かって歩いていくと決めた私は、笑顔で彼に抱きついた――。
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