悪女の涙は透明らしい
「じゃあこのまま知らないほうがいいよ。得なんてないから」

「得するかしないかはお前が決めることじゃないだろ」


「自分の価値なんて把握してる。だから詮索しないで」



これ以上の会話を無理やり断ち切って、私は送ってくれた礼もそのままに踵を返した。



『なんで俺たちを裏切ったんだ.......!!!』


もうあんな思いをするなんて、耐えられない。



「奈緒」


後ろからチカが声をかける。


「明日も【気侭】に来いよ。俺の新作も食べて」


「...考えとく」


振り返りはしなかった。

彼の言葉にほっとしたなんて、絶対に言わない。
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