略奪☆エルダーボーイ

黒瀬さんと体育館に行くなり、マネージャーの仕事を始める。



練習が本格化していき、ボールが飛び交うようになってきた。



体を冷やさないように、と黒瀬さんにかけられたジャージの上着を肩にかけながらマネージャーの仕事をこなす。



そんな時、試合形式の練習をしていた灰田くんがボールに触れた時に顔をしかめたように見えた。



もしかして、痛めたのかな?



顔をしかめてからの灰田くんの仕草は右手を庇っているようにも見える。



「灰田くん。指、どうかしたの?」



試合形式の練習が一段落してから、ベンチに戻る灰田くんに駆け寄りながら声をかける。



灰田くんは右手を押さえながら駆け寄ってきた私のことを見つめた。



「あ・・・えっと、突き指しちゃって・・・」



「手当てするよ。見せて」



「はいっス」



救急箱からテーピングを、アイスボックスから氷を取りだしてアイシングの準備をして、灰田くんの手をとる。



指を見てみると、少し赤くなっているけどまだ腫れてはないようだ。



「腫れてはないみたいだね・・・とりあえず冷やすね」



「はい」



アイシングを突き指したところに当て、患部を冷やす。



しばらく冷やした後にテーピングを巻いて固定すればOKなはずだ。



「キツくない?」



「っ・・・だ、大丈夫ッス」



テーピングを巻いている最中に顔を上げて灰田くんに視線を向けると、バチッと目が合う。



その瞬間、目を見開いた灰田くんはフイッと私から目を逸らした。



「・・・?痛かった?」



「イエ・・・大丈夫です」



「そう・・・?」



大丈夫そうじゃない雰囲気だけど大丈夫と言われてしまった手前、深く突っ込むわけにはいかない。



なるべく痛くないように丁寧にテーピングを巻き上げた。



「・・・はい、終わったよ」



「アザッス・・・。伊吹さん、手当て上手いッスね」



使い終わったアイシングとテーピングを片付けていると、巻き付けたテーピングをまじまじと見つめながら褒めてくれる灰田くん。



そういえば前にもそんなこと言われた気がする。



「そう?なら嬉しいな」



お世辞でも、褒められると嬉しいな。



作業する手を止めて灰田くんの方を向いて微笑む。



「!・・・ウス・・・」



私と目が合った灰田くんは、視線を逸らしながら小さく声を上げた。



・・・なんか、目を逸らされてばっかりなんだけど・・・気のせいじゃないよね?


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