暗闇の星屑、夜明けの太陽
「ちょっと寄り道」



「どこ?」



ハルちゃんの車が向かった先に
日が昇るのが見えた



「あ、朝だ」



「朝だね…」



「学校だ」



「月島は今日は休み」



「え、ハルちゃんは?」



「もちろん仕事」



「このまま行くの?」



「このまま行くだろ
誰かのせいで…」



そう言ってハルちゃんは車から降りた



私も降りたらハルちゃんが
身体を伸ばした



「心配しなくていいよ
ちゃんと卒業できるから
ちゃんと卒業させるから」



ハルちゃんの言葉に
また涙が出た



「泣くな
オレのジャケットグチャグチャじゃん
大学行ったらクリーニング代も請求するからな!
頼むからオレが忘れないうちに
受かってくれ!」



「ハルちゃん…
また失恋しちゃったよ

ハルちゃんに関係ないけどね…

勝手に好きになって…
勝手に失恋しちゃった

きっと私だけ真剣だった

バカみたい

じゃなくて…バカだよね」



ハルちゃんのジャケットの中で
また泣いた



「よくできました」



ジャケットの外からハルちゃんの声がした



「こんなバカでも…
大学行けるかな…」



「オレも行けたから
行けるだろ

オレはいまだにバカだし…
一生バカかもしれない

本気で好きとか思える月島は
すごいと思うし
失恋した月島は強いと思う

オレはバカで弱い」



ハルちゃんの声が震えた気がして
ジャケットの隙間から覗いたら

ハルちゃんは泣いてた



ハルちゃんも
いろいろあるんだろう



大人でも
男の人でも
先生でも

泣くんだ



「ハルちゃん…」



なんて声を掛けたらいいかわからなかったけど

なんて綺麗な涙なんだろうって思った



キラキラした宝石よりも
ずっと綺麗だった



目が合って
ハルちゃんは恥ずかしそうに目をそらした



それから私をジャケットの上から
優しく抱きしめて



「ごめん…月島…」



また謝った



震えてるのは私かな…

ハルちゃんかな…



心臓の音は私かな…

ハルちゃんかな…



この気持ちはなんだろう



バカな私にはわからない



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