しょっぱい後には甘いもの。

「ジョーダンは止めてよ。」
「何のジョーダン?昔した約束信じて俺はここまできたんだ。止めないよ。」



ソファーで押し倒され、シャワーで綺麗になったにゃんにゃんと、丸一日お風呂に入っていない私。

ちょいちょいちょい!
チューとか100歩譲ってまだ我慢出来るが、それ以上はどう考えてもマニアックな領域の私の汗臭さ。
それに加えて歯磨きもしてない。


「待って、本当に無理。」
「何が?」

何がとな?
素っぴんの方がまだマシの化粧崩れの汚い顔に、体臭に包まれた私の身体。
わかりますでしょうか?お口の中は先ほど五割くらい召し上がった牛タンの風味を添えております。

無理の答えがわからないにゃんにゃんは、タワマンの汚部屋で鼻筋が美しく整い高くて綺麗な形の鼻は、くの字に曲がってしまったのか。

「いや、だから…。私シャワー浴びてない。」
「俺、年中鼻炎だから大丈夫。鼻中隔わん曲症だから。」


あぁそっかぁ
じゃあいいやぁ

ってなるか!!
なんだその耳鼻咽喉科の診断は!治せよ!手術しろ!というかハッキリ言うが。


「そんな気分になれない。」


当たり前過ぎる当たり前の感情を素直に伝える。

昨日別れを告げられた私、つむじから爪先まで孝則でいっぱいなのに、何故違う男に抱かれなきゃいけないのか。

股を開いた所で孝則を忘れる事が出来るとしても、今は純粋にそんな気分になれない。


「でも俺ら結婚するよ?」
「はい???」
「美穂が30歳になっても独身なら結婚しようって言ってたよ。あの時。」




何そのとんでもない約束…。
いつの話?覚えて…





る!!!
覚えてる!覚えてるわ!!

15年前のあの時、確かに私とにゃんにゃんはそんな約束をした。一緒にいる時、にゃんにゃんに彼女がいる話はタブーで過ごしていた二人の時間。

それでも口に出してしまう私の若かりし頃の感情。


「…私、にゃんにゃんの二番じゃなきゃいいのに。」
「一番だよ?」
「でも…いるじゃん。バスケ部の…。」
「別れてもいいんだぞ?」
「じゃあ彼女じゃなくて、私が30歳になっても独身なら私にゃんにゃんと結婚するかな。そしたらずっと一番だよね。」



約束だよ?

絶対だな?




一字一句思い出した!約束してる!甘い言葉に甘い約束。
サッカー部のキャプテンの肩書きじゃなく、一緒にいればいるほどにゃんにゃんの素が好きで好きでたまらなかった15歳の私。

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