しょっぱい後には甘いもの。
「彼氏に女と子供が出来て別れたので今日仕事休みます。」
「マジで?有給全部使って好きなことしてこい。そして這い上がってこい。」
入社一日目でアンタの為なら!とリスペクトした女性の上司に電話をしたら、惚れ惚れする返事にとりあえず会社は休むことが出来た。
まんが喫茶に拠点を置いて、街に出る。
何処にいても何をしても男性がいるのに、どうやったら次の人を見つけられるのか?
生涯独身が当たり前になりつつこの時代だろうが、私は結婚して名字を変えて子供をもうけたかった。
今時ふっる~い
独身を謳歌がもはや当たり前
そんな事を言われようが、私は子供の頃から好きな人と結婚するのが夢であり、自惚れでもなく結婚出来ることが普通だと思っていた。
なんだこれ?
どうした私?
7年付き合った孝則と別れるとかそれけっこう重くない?
メンタル弱かったら手首バッサーっていくやつじゃない?
錠剤の睡眠薬ドバーッて飲んで喉つまりするやつじゃない?
それで私が死んでも
「7年付き合った男が余所で女と子供出来たらねぇ…。」
なんて二割は同情してくれると思うんだ。
【結婚】したかったとかじゃなく、私は【孝則と結婚】したかったんだよ。
なにしてくれてるのよ。
私の事、ラブソングの歌詞みたいに一生好きでいてくれるって言ってたじゃんよ。
好きな女が出来たから別れて欲しい
筋肉モリモリのへビー級の拳の一発よりも、改心の一撃だよその言葉。
一発KOだよ、白目だよ。
「ストップストップ!これ以上言ったら死んじゃうって!」ってシマシマ服着たレフェリーも全身で止めに入るわ。
そして私はこう言うね。
…本望…
「う、う、うわぁぁぁぁん。」
街行く通行人が大勢いるのに、私号泣。
一目をはばからず号泣。
無理だよ!無理!辛いに決まってるって!泣くよ、そりゃ!泣きますとも!!
私捨てられたんだよ。
7年付き合ってた孝則に捨てられたんだよ。
のり塩食べてる時に別れ話されたんだよ!!
のり塩は思い出すから一生食べられなくなりそうだよ!!!
「うわぁぁぁぁぁん!!」
私を見て小声で話す人達やらスルーする人。笑う人からスマホで写真を撮る人もいる。
好きにして、ネットに晒せばいいさ。
どうでもいいよ、こんな人生。
どうでもいいよ…。
「美穂?」
どうでも…
「美穂?おい、どうした?」
「ヒクッ…ヒクッ…なんでにゃんにゃんが…。」