しょっぱい後には甘いもの。

にゃんにゃんが言った通り、エレベーターで四十階まで上がって高級感でしかないシックなマンションの廊下を歩き、ドアの鍵を開ける。


そしてそこには…
広々とした玄関に眺めの良いリビング…



に広がるゴミの山ー!!!!
大量のカップラーメンの容器に空き缶の山、脱いだ服なのか洗濯してるのか謎な洋服はそこら辺に転がっている。
Uber Eatsで頼んだ形跡の食べ物の残骸。白くて高そうな皮の素材のソファーには何かを溢した形跡が残されていた。


「あ、掃除してないわ。」
「してないわ、で、済むレベルじゃないよコレ!?てか臭い!何か臭い!!窓窓窓!換気換気換気!!!」

タワマンの汚部屋って残念過ぎる。待って待って待って、思い出してきた。
確かにあの時のにゃんにゃんの部屋は汚かった。

座る所がベッドしかなくて、常に二人でベッドにいるからヤることヤっちゃう的な。でも浮かれていて部屋が汚くても、目の前でにゃんにゃんが私を求めてくれるならどうでも良かったんだ。


「何か掃除って嫌い。」

何その私ピーマン嫌いなノリの発言。そうなんだー食べてみなよーみたいに、そうなんだーしてみなよー掃除。って返したい。

「金あるなら業者に頼んだら?」
「まさかでしょ。家に人あげるとか無いわ。」
「ワタシヒトダヨー。」


棒読みで返したら予想外の言葉。

「美穂は良いに決まってるだろ。」

なんで?
昔のよしみ?
互いの陰部を見せ合った仲だから?
悪いけど全然覚えてませんからー。姿形、微塵も覚えてませんからー。
そもそもにゃんにゃんとのセックスの流れも作業も、記憶にございませんからー。

覚えているのはただ一つの合言葉。


にゃんにゃん♪



サッカー部のキャプテンが思いっきり甘えてくる時に使うこの言葉だけ。
猫語を話すわけでもない、むしろ学校で見たことある彼の姿は明らかに少し怖い派手なグループだったのに。

どういうわけか、この豹変。

高校生の私は彼氏も居たことない、初めてのセックスもこの男。
甘える男というのはこんなにもキャラが変わるのかと信じて疑わなかったウブな私。

にゃんにゃんとの関係が終わり、孝則と出会う前にも何人かと経験した男性とのセックスを思い出しても、にゃんにゃんと口に出して甘える男はこの人だけだった。

かなり特殊な分類だったんだなと改めて考える。
ていうか、今思えば【キモい】と思われても仕方ないと思うのだが、イケメンのサッカー部のキャプテンという称号はどうやら何をしても許されるんだと汚部屋の真ん中で納得する。

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