君が眠るこの冬に。

春 ~君との出会い~

桜の花びらがヒラヒラと舞い落ちる。そんな中僕はもう中学生になってからかれこれ3年、この中学校での最上学年になった。1年生、2年生の時もこれといった思い出は何も出来ないし、僕は元々話すのが苦手で全然友達もできていない。
いよいよ中学校生活も終わりになるのかと思うと少し寂しいけど、早く終わって欲しい気持ちもある。今日は新しいクラスでの最初の1日。また友達なんて出来ないだろうし、地味なまま終わりを告げると思う。そんなことを考えると僕の人生ってこんなに地味でつまらないんだ、なんて思ってしまったりもする。

昇降口を抜け、3年2組の教室へ行くために2階まで上がるための階段を上がる。周りのみんなは友達とまた一緒になれた、とか、何組だった?なんて話しながら歩いている。俺はそんな話す人もいないから色んな会話が耳に入ってくる。
「おーい真白、おはよ」
「斗真、おはよ。何組だった?」
「3組だったよ。また離れちゃったな笑」
「最後ぐらい一緒が良かったけど、隣のクラスだしまだいっか笑」
突然後ろから話しかけてきたのは(あかつき) 斗真(とうま)。小学校の頃に唯一友達になってくれた子だった。今でも仲良くしてくれたけど、3年間、同じクラスにはなれなかった。まぁ、しょうがないか…笑
「お前大丈夫か?新しいクラス馴染めんのかよ」
「さぁね、分からないよ笑」
「3年生だし、受験とかだけどその前に修学旅行とかもあるんだから、ちゃんと1人くらいは友達作っておけよ」
「分かってる。ありがと」
「なんもなんも、じゃまた後でな」
「うん」


教室に入るともう何個かのグループに分かれていて、僕が入れるところはなさそうだった。やっぱり今年も1人かな…もうみんな仲良い子と固まっちゃってるしな。
話す人もいないので、大人しく席に着く。窓側から2列目の1番後ろ。風が気持ちいいな…外を眺めると青い空が広がっていた。こんな日に入学式だったんだ。1年生も嬉しいだろうな笑
「ねぇねぇ、君なんて名前??」
「え、僕?」
「そうだよ、君しかいないでしょ笑」
「僕は、真白…男虎(おのとら) 真白(ましろ)。」
「へぇ、苗字強そう笑」
「そうかな、まぁ虎って入ってるしね、笑」
「真白って呼んでもいい?」
「いいけど、君は…?」
「私は愛葉(あいば) 優希(ゆき)。優希って呼んで?」
「分かった」
多分席が僕と隣で話しかけてきてくれたのは優希という女の子だった。髪が胸あたりまであって、肌が白く、爽やかな雰囲気がある子だった。僕に話しかけてくれるなんて珍しい。みんな近づいてくれもしないのに。
「真白、これからよろしく!」
「よ、よろしく……」
「んふふ」
「優希ー!」
「あ、はーい!今行く!じゃあね真白」
色んなところから優希って名前を呼ぶ声が聞こえた。多分人気者なんだろうな優希は。僕とは真逆だ。ただ、隣の席だからというだけで話しかけてくれただけだ。そこまで深くは関わりを持たない。いや、僕がそんなことを出来る立場にいない、の方が正しいかもしれない。
「はい、ホームルーム始めるぞー」
新しい担任の先生が来て、朝のホームルームが始まった。また憂鬱な1年が始まった。
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