王太子殿下と婚約していますが、卒業パーティーで破棄するつもりです(※伯爵令嬢にすぎない私から)
「君は姿を消す直前こう言い放ったんだ。『アルナルディ家の当主は代々魔法使いで、私も魔女なんです。だから王太子妃にはなれません』ってね」
殿下が破顔した。
「そんなことかって思ったよ」
「そんなことって!」
私はとうとう堪え切れなくなって、声を上げてしまった。
「母上が戻せる時間は回を重ねる毎に短くなっていて、これが『最後のチャンス』だと宣告された。そうして戻ってきたのがほんの数刻前」
セルジュ殿下が王妃陛下に視線を向けた。
「ほら、母上はヘトヘトだよ」
王妃陛下はヨレヨレの笑顔を私たちにくれ、軽く手を振った。
「もう分かるだろう? 母上もそうなんだってこと」
「魔女……なんですか?」
にわかには信じられなかった。
(だけど、セルジュ殿下の話してくれた通り、3回も時間を戻していたのだとすれば……)
「これで分かってもらえるかしら?」
ポンッ! と目の前に現れたのは、殿下から贈られたドレスの箱だった。
宙を浮いたまま、ひとりでにリボンがほどけ、箱が開いた……
次の瞬間、私はそのドレスを身にまとっていた。