王太子殿下と婚約していますが、卒業パーティーで破棄するつもりです(※伯爵令嬢にすぎない私から)
「この秘密を知った以上、離縁もできないからね」
そう言って、セルジュ殿下はポケットからジュエリーボックスを取り出すと、ネックレスを私に付けてくれた。
「いい加減、花火も終わる。卒業パーティーに行こう」
魔力を使い切った王妃陛下は、倒れ込むようにしながら尋ねてきた。
「アルナルディ伯爵は、魔法で打ち上げ花火を出せて?」
「たぶん……できると思います」
「なら、来月の式典は伯爵にお願いすることにするわ。私は当分の間、大掛かりな魔法は使えないと思うから。貴方たちの婚姻発表をするときに、盛大にお祝いの花火を打ち上げてもらいましょう」
「そうだな。それで一家で逃亡した件はチャラにしよう」
国王陛下がにっこりしてそう付け加えた。
「ありがとうございます!」
私は深々と頭を下げた。
「さあ、クロエ」
セルジュ殿下は、曲げた肘を私に差し出した。
「遅刻するといけない。急ごう」
私はその肘に手を添えてニンマリした。
「だったら……」
そうして私は転移魔法の呪文を唱えたのだった。
END


