不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
「少しいいでしょうか?」

 放課後、私はナルネア嬢に話しかけられていた。
 彼女は、柔和な笑みを浮かべている。しかしいつも通り、目が笑っていない。
 どうしてそんな顔をして話しかけてきたのかは、わかっている。私がマグナード様と、今日一日親しくしていたからだろう。

「……なんでしょうか?」
「わかっていないはずがありませんよね? あなただって、自覚していることでしょう」
「それは……」
「まったく、どうして私の言うことが聞いていただけないのでしょうか? お願いさえ聞いていただければ、こちらからは何もしないというのに……」

 ナルネア嬢は、忌々しそうにそう言った。
 ただ、私はマグナード様から聞いている。私が大人しくしていても、ナルネア嬢は何かしらのちょっかいをかけるつもりだったということを。
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