不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
「マグナード様は、あなたみたいな女が親しくしていい方ではないのです。あの方に相応しいのは、私のような高貴な人間……あなたのようなカスが、色目を使うなんて許されることではないのですよ!」
「ナ、ナルネア様……?」
「ど、どうされたのですか?」

 ナルネア嬢は、凡そ高貴な人間とは思えないような言葉を発していた。
 それに対して、彼女の取り巻きが少し引いている。いつもこういう現場に同行している彼女達が動揺する程に、ナルネア嬢は興奮しているらしい。

 しかしよく見てみると、ナルネア嬢の様子はおかしいような気がする。
 彼女は、確かに怒っている。しかしなんだか、焦燥感というか、私への怒りというよりも焦りからこの行動をしているように思えるのだ。

 ナルネア嬢は、何かに恐怖しているようだった。
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