不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
 それを彼女自身が自覚しているかどうかはわからないのだが、とにかくナルネア嬢には覇気がない。

「はあ、はあ……」
「ナルネア様、少し落ち着いてください」
「大丈夫ですか? 体調が優れないのではありませんか?」
「う、うるさい!」
「ひっ!」

 様子がおかしいナルネア嬢のことを、取り巻き達は心配していた。
 しかし、それを彼女は突っぱねる。味方に激昂するなんて、ひどい話だ。いい気味だとも思うが、ほんの少しだけ取り巻き達に同情してしまう。

「……みっともないですよ、ナルネア嬢」
「……え?」

 そして、ナルネア嬢も取り巻き達も、この場の異様な雰囲気によって、周囲の様子にまったく気が回っていなかった。
 だから、校舎の方からマグナード様がやって来ていることには気付けなかったようだ。
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