不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
 アルバルト様は、驚くべきことを言ってきた。
 妹と婚約破棄した。その事実に、私は思わず変な声を出してしまっている。
 だが、こういう時こそ冷静にならなければならない。そう思って、私は一度深呼吸する。とにかく落ち着きたかったからだ。

「アルバルト様、それはどういうことですか?」
「エムリー嬢には、正直付き合えません。表面上彼女は良き令嬢を演じていますが、その中身には大きな闇がある。まあそれは、あなたが誰よりもわかっているのでしょうが……」
「それは……」

 私に対して、アルバルト様は少し同情的な視線を向けてきた。
 それはつまり、エムリーの数々の所業を知ったということだろうか。確かに、それなら婚約破棄も納得できない訳ではない。
 アルバルト様の心は折れてしまったのだ。あのエムリーの果てしない欲望に触れたことによって。
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