不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
 そこにいるのは、このハルバルド王国の第二王子であるブライト殿下だ。
 彼は、ナルネア嬢を真っ直ぐに見つめている。それ以外の令嬢など、まるで目に入っていない。誰がこの場を取り仕切っているのかは、よく理解しているようだ。

「こちらのイルリア嬢と話していただけですよ」
「こんな所で、これだけの人数でか?」
「……何か問題でも?」

 ナルネア嬢の声は、少し震えていた。
 それは先程までの私と同じ状態だ。自分よりも権力を持つ者に詰め寄られて、どうしようもなくなっているのだろう。

「いや、あなたは随分と臆病だと思ったんだ、ナルネア・オルガー侯爵令嬢……あなたは、自分よりも下の地位の貴族令嬢と話すのにも、お友達が必要なんだな?」
「なっ……」

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