不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
「適切な距離感を取るべきだと思うのです。私達は貴族の男女であり、地位もかなり違います。そこには複雑な事情が絡んでくる……」

 私の言葉に、マグナード様はため息をついた。
 どこか呆れたようなそのため息には、私も少し息苦しくなってしまう。
 とはいえ、私は言い切らなければならない。これは今後の学園生活のためにも、必要なことである。

「なるほど、誰かに何かを言われたということですか」
「いえ、それは……」
「わかりました。そういうことなら、適切な距離感を保った方がいいのでしょうね。あなたの身に万が一のことがあってはならない」

 マグナード様は、少ない情報から事情の全てを理解していた。
 それは正直、私にとっては予想外のことである。もう少し上手く話を運ぶつもりだったのだが。

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