不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?
「さてと、そういうことならお話はこれで終わりということで構いませんね」
「え? ええ……」
「それでは、僕は寮に戻ります」

 マグナード様は、ゆっくりと立ち上がり、そのまま教室から去って行った。
 その呆気なさには、私も少し面食らってしまう。なんというか、少し寂しい気もする。

「……まあ、上出来ということにしておきましょうか」

 そんな私を見ながら、ナルネア嬢は笑みを浮かべていた。
 どうやら、彼女の方はこの結果に満足してくれているらしい。もしかして、そうなることをわかっていて、マグナード様は素っ気ない態度を取ってくれたのだろうか。
 何はともあれ、これで私の安寧は保証されそうだ。それ自体は嬉しいことである。

「……でも」

 ただ、私は少しだけ気になっていた。
 立ち上がった時のマグナード様の表情が、ひどく冷たいものだったような気がしたからだ。
 あの表情は、果たして誰に向けたものだったのだろうか。それを考えながら、私はしばらく教室で一人の時間を過ごすのだった。
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