【コミカライズ】断罪不可避の悪役令嬢、純愛騎士の腕の中に墜つ。
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「……罪によって、ティルダ・トリエステとは婚約破棄し彼女を貴族の身分剥奪の上、国外追放とする!」
私は婚約者アーサーが言った『国外追放』の言葉を聞いて、ほっと安心して胸を撫で下ろした。良かったわ。だって、そうだったら良いなと思っていた刑だったから。
「殿下のお言葉通り……お受けいたします」
また、この言葉も何か良くない言葉に変換されたのか、周囲からは失笑と嘲笑が聞こえた。
もう良いわ。話した言葉がそのままの意味で通じないなんて、これでもう終わりだもの。悪役令嬢の断罪を以てハッピーエンド。乙女ゲームはすべて終わり。
こういう時のために財産を隠していた場所へ、どうにか移動しないと……。
腐っても貴族令嬢の私は、作法通りお辞儀をして、この場から下がるために背後を振り返った。
……そこに居たのは、あの時以来姿を見なかったゴートン? どうして、彼がここに居るの?
ここまで急ぎ走って来たのか、肩を揺らした彼は荒い息を何度も吐いていた。そして、ゴートンは騎士らしくひざまづき、許しを乞うようにアーサーへと言った。
「お待ちください! アーサー殿下。ティルダ様はそちらの女性を、一度も虐めた事などございません」
「……なんだと?」