【コミカライズ】断罪不可避の悪役令嬢、純愛騎士の腕の中に墜つ。
あの時は断罪は避けられないし、絶望するしかないと思っていたけど、ゴートンが結局のところ助けてくれたんだから、終わりよければ全て良しなのかもしれない。
今思うとすごく健気な言葉だけど、ゴートンの思っている意味とは少し違う。
私の手に彼の大きな手が重なり、あっと気がついた時には膝の上へと抱き上げられていた。
「……驚いたわ。ゴートン」
その動作があまりにも早くて、私は目を瞬かせた。彼は元々は騎士として働いていたし、力があると分かっていても、それでも。
「あの時の望みは、叶いましたか?」
「え? ああ……恋をしたいと、月に向かって叫んでいたことね。何だか、今では恥ずかしいわ」
どうせ叫んでも曲解されてしまうだろうと思っていたけど、神に愛されし巫女の血を引くゴートンにはそれも通じなかったという訳よね。
「ええ……叶っていて欲しいです。ティルダ……どう思います?」
切実な気持ちを感じられる声に、私は微笑んだ。そんなの……近くに居る彼には分かってしまっているはずなのに。
「私は望み通り、貴女に恋をしたわ。ゴートン。それで良い?」