【コミカライズ】断罪不可避の悪役令嬢、純愛騎士の腕の中に墜つ。
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アーサーは何の罪もない婚約者たる私へ婚約破棄を宣言し、何の法的根拠もなく国外追放の刑を下したとして、一年間の離宮での謹慎処分になった。
とは言え、何らかの良くない力が働いていたから仕方ないという声での温情処置もあり、まだ王族の身分は剥奪されず、継承権はそのままになるそうだ。
被害者となってしまった私も、それで良いと思う。今思うとアーサーやその他の攻略対象者は、あのヒロインの良いようにされていただけだと思うから。
ゲームの強制力はあったにしても、彼女はそれを完全に利用しようとしていた。彼らだって、立派な被害者だったと言える。
そんなこんなで、あの事件の後存在が明らかになった第二王子、今のところの王太子の役目は私の隣に居る……この人、ゴートンが勤めている。
王宮に用意された私室で二人でお茶をしていたんだけど、ゴートンは向かいに座るよりも、私の隣で座りたがる。
二人きりしか居ないから、別に良いんだけど……近い。
「ティルダ。何か悩み事でも? 何かあれば、僕に言って欲しいんだけど」
以前に意志を通じることの出来ない世界に疲れ誰にも悩みを言っても無駄だと諦め、彼にも助けを求めなかったせいか、やたらとゴートンはその後も私のことを気にしている。
……それに、兄にあたるアーサーに婚約破棄されたということで、その不始末の責任を取る形で、今では弟となった彼が私の婚約者となっていた。
「いいえ。何もないわ……ゴートン。私のこと、そんなに気にしないで。もう大丈夫よ。貴方が居てくれるもの」
「どうかな。君はいつも、何を言わずに我慢するから……悲しそうに私のことを気にしないでと言っていたあの夜を忘れられない」