【コミカライズ】断罪不可避の悪役令嬢、純愛騎士の腕の中に墜つ。

 いわゆる悪役令嬢の取り巻きの彼女たちは、私がいくらよそよそしくし接しても、近づけば逃げ回っても、どこまでも着いて来るので、今ではもうそういうものだと割り切り、気にしないことにしている。

「……構わないわ。私には……アーサー殿下の幸せが一番だもの。彼が彼女を選ぶと言うのなら、私は我慢するわ。お二人の幸せを邪魔することなど、一切考えておりません」

「……そうですよね! 本当に気に入りません。身分の低い男爵令嬢だと言うのに、あんな風に良い気になって……許されませんわ」

「殿下の婚約者はこちらにいらっしゃる、高貴で美しい公爵令嬢ティルダ様だと言うのに……あんな貧相な庶民上がり、身の程を思い知らせなくては!」

 健気ヒロイン顔負けだったはずの私の良い台詞をまるっと無視されて、周囲も憚らず王太子と見つめ合うヒロインをどうやって虐めようと盛り上がる取り巻き令嬢たち。

 私はなんだかそんな光景があほくさくなりため息をつき、持っていたグラスを給仕の盆に置くと、一人で夜会を抜け出すことにした。
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