エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 素敵なアドバイスを残して、彼は席を立った。フロントから友人が戻ってきたからだろう。美月は先ほど計画した観光プランの資料を渡し、「いってらっしゃいませ」と頭をさげた。

「ありがとう。――そうじゃ! ひとつ、おもしろい話を教えてあげよう」

 茶目っ気たっぷりに片目をつむって、善次郎は続ける。

「晴馬が消防士を目指したきっかけを知ってるか?」
「いいえ。そういえば、聞いたことないです」
「火事でつらい思いをした女の子のことを、ずっと忘れられなかったから。そう言ってたな」

(火事でつらい思い……もしかして、それって……)

「誰のことかは、言わなくてもわかるじゃろ?」

 陽気に手を振って、善次郎は友人と一緒にホテルを出ていった。

(私の存在で、晴馬が消防士を目指した?)

 自分が彼の人生に影響を与えた。もし本当なら、少し自惚れてしまいそうだ。

(今は、私じゃダメかもしれないけど……晴馬に振り向いてもらえるようにがんばってみてもいいのかな?)

 現金さに自分でも笑ってしまうけれど、善次郎に励まされて前向きな気持ちが芽生えてきた。晴馬が好きだから、諦めたくない。

(まずは最近の態度をちゃんと謝ろう。晴馬に……会いたいな)

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