エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
「自分がよいと思ったものは、人にすすめたくなるだろう? ただそれだけのことだったんじゃ」

 その意見はとても善次郎らしいし、自分たちも同じように思える結婚生活を送りたいなと思った。

「その理屈でいくと、私たちも孫にうるさく結婚をすすめることになりそう。ね、晴馬」

 こちらをのぞいて、美月がクスクスと笑う。

「晴馬。美月ちゃんを早く紹介しろと一族が首を長くして待ってるぞ」

 善次郎が北原一族のいる方向に首を向けながら言った。

「あぁ、そうだった。今日はそのために来たんだ」

 美月をエスコートとして、善次郎と一緒にそちらに向かう。

 親族はみな彼女を温かく迎えてくれて、美月も安心したようだった。

「美月ちゃん。一緒にデザートを取りに行かない? ここのホテル、チーズケーキが絶品なのよ」
「わ~、チーズケーキ大好きです! 晴馬、ちょっと行ってきていい?」
「どうぞ。俺はその間に顔見知りにあいさつを済ませてくるよ」

 普段は家業にまったく貢献できていないからこそ、こういう場くらいはきちんと対応しておかなくては。

 義姉の渚とすっかり意気投合した様子の美月を見送ってから、晴馬も動き出す。

 見知った人物へのあいさつをあらかた終えたところで、誰かに声をかけられる。

「善次郎さんのお孫さんの晴馬さんですよね? はじめまして」

 六十歳手前くらいの、中肉中背の男性。娘と思われる若い女性と一緒だ。
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