エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
 人さし指をふっくらとした唇に当てて、小首をかしげる。

(いつもこの手で、男を落としてるんだろうなぁ)

 自信たっぷりな様子からそれが伝わる。由奈のテンションと反比例するように、晴馬の心中は冷えていく。

「ご婚約者はどちらに? あなたを捜されているんじゃないですか」

 暗に「早くそっちに行ってくれ」とほのめかしたつもりだったが、彼女には伝わらなかったようだ。

「え~、婚約者っていってもまだ正式なものじゃなくて」

 舌足らずな声で言って、彼女は上目遣いにこちらを見あげる。

「それに……由奈は今日、運命の出会いを果たした気がするんです。晴馬さんと!」

 晴馬はおぞましさに身震いする。ギラギラした物欲しげな瞳は、もはやホラーだ。

(興味のない女性の上目遣いほど怖いものはないよな。美月なら……嬉しいけど)

 比較するのは美月にも目の前の彼女にも失礼だと理解しつつも、ついそんなことを考えてしまう。

(それに、どこの誰だか知らないが婚約者も不憫だな)

 晴馬が由奈の夫となる男性に思いを巡らせたところで、張本人が登場した。

「由奈っ」

 グレーのスーツ姿の男性がこちらに向かって歩いてくる。

「俺を北原一族に紹介したいって話だっただろう? なのに俺を放って、なにしてるんだよ? また男に色目を使ってるのか?」
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