エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
「いいように解釈しないで。ここに連れてきてあげたのは、あなたに人脈ができるようにっていうパパのお情けよ」

 由奈は「はぁ」と大きなため息を落とす。

「株で成功してるから資産は潤沢なんて嘘ばっかり。知っていたら、あなたと結婚なんて考えもしなかったのに」
「お前と付き合うようになってから、すべての運が尽きたんだよ。あいつといた頃は仕事も株もうまくいってたのに……」

 口汚く互いをののしり合うふたりは、結婚を控えた幸せなカップルには到底見えなかった。

(ん? この男、どこかで……)

 晴馬が気づくと同時に、彼のほうもハッとした顔になる。

「まさか……以前に美月と一緒にいた?」

(そうだ。美月をひどい目にあわせたクズ男だ)

 晴馬は帝都グランデホテルの前で美月と彼が揉めていたシーンを思い出す。たしか『省吾さん』と呼ばれていた。

「なんでお前が、こんなところにまでいるんだよ?」

 省吾は晴馬にらみをきかせるが、由奈が慌ててそれを制する。

「ちょっと! 北原家の御曹司になんて口をきくのよ」

 由奈は露骨に嫌そうな顔になって、首を横に振る。

「もういいわ。省吾さんは邪魔だから、帰ってよ」
「おいっ、由奈」

 ふたりの間を険悪な空気が流れる。晴馬はそーっと一歩、あとずさる。

(俺にはなんの関係もないし……)
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