エリート消防士は揺るがぬ熱情で一途愛を貫く~3か月限定の妻なのに愛し囲われました~
「結婚する気のない人間が見合いをするのは相手にも失礼だし、できれば避けたい」

 彼の誠実さには好感を抱いた。協力してあげたいという気持ちも湧く。晴馬は美月の両肩をつかむと、あとひと押しとばかりに言葉を重ねる。

「だから、仕事として割り切れる人間に協力してほしい。さっき、俺が取引だと言ったのを覚えているか?」
「う、うん」
「だから美月にもメリットを用意してる」
「私のメリット?」

 晴馬はポケットからスマホを取り出すとサッと操作して、その画面を美月に見せた。和の趣も感じさせるモダンな高層ビルが映っている。

「これって……」
「パールトンホテル。知ってるだろ?」
「もちろん!」

 二年前、六本木の再開発エリアにオープンした外資系ラグジュアリーホテルだ。創業はパリだが、今は世界中にパールトンブランドは浸透している。〝一流をこえるサービス〟がウリの、ホテル業界の雄。美月たちホテリエにとっては憧れてやまない存在だ。

「ここの建設、北原が担当したから縁が深くてね。色々と情報が入ってくるんだが……ハイクラス感をより一層高めるためにコンシェルジュサービスの拡充を検討しているそうなんだ。新しい人材の採用も考えているってことだ」
「もしかして……」

 魅力的すぎる話に、美月は思わずゴクリと喉を鳴らす。
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