王族の婚姻に振り回された聖女ですが、幸せを見つけました
当然とばかりに断言されて、顔を上げる。
「……え?」
「だって、そうじゃない? 君は戦利品じゃない。優しい心を持った女性だよ。それがわからない人にクレアを託すなんて真っ平ごめんだ」
「…………。ありがとう。あなたは違うのね」
「ふふ。どういたしまして」
ジュリアンは人差し指を唇に当てて、悪戯っぽく笑う。
彼の一言で、先ほどまで沈んでいた気持ちが一気に浮上したのがわかる。
(やっぱり、リアンといるときが一番落ち着くわね……。自分らしくいられるというか)
乳白色の霧で覆われた室内を慎重に進んでいくと、やがて霧が晴れた場所に出た。途端に視界が開け、意図的に四角く区切られた空間に出る。
金の聖杯は中央の台座に置かれていた。
間近で見るのは初めてだ。両手で持ち上げるほどの大きさだ。上部に小さい紅玉の宝石がぐるりと等間隔にはめ込めてある。
(不用意に触れたら、まずいわよね……?)
クレアが神殿長から仰せつかったのは、王族を最奥の間に案内することだけだ。目的地到着後は王族に任せたらいいと聞いている。
どうするのだろう。興味津々で横のジュリアンに視線を移す。
「……え?」
「だって、そうじゃない? 君は戦利品じゃない。優しい心を持った女性だよ。それがわからない人にクレアを託すなんて真っ平ごめんだ」
「…………。ありがとう。あなたは違うのね」
「ふふ。どういたしまして」
ジュリアンは人差し指を唇に当てて、悪戯っぽく笑う。
彼の一言で、先ほどまで沈んでいた気持ちが一気に浮上したのがわかる。
(やっぱり、リアンといるときが一番落ち着くわね……。自分らしくいられるというか)
乳白色の霧で覆われた室内を慎重に進んでいくと、やがて霧が晴れた場所に出た。途端に視界が開け、意図的に四角く区切られた空間に出る。
金の聖杯は中央の台座に置かれていた。
間近で見るのは初めてだ。両手で持ち上げるほどの大きさだ。上部に小さい紅玉の宝石がぐるりと等間隔にはめ込めてある。
(不用意に触れたら、まずいわよね……?)
クレアが神殿長から仰せつかったのは、王族を最奥の間に案内することだけだ。目的地到着後は王族に任せたらいいと聞いている。
どうするのだろう。興味津々で横のジュリアンに視線を移す。