環境が最悪なので推し活してたら推しから溺愛されることになりました
「そ、そんなのありなんですかぁ? 人事にも通さずそんな……」
「人事には俺が言っておくんでー。っていうか俺と美知華さんとの会話に割り込まないでくださーい」
 さっきまでの美知華への態度とは打って変わり、まさにツンとした猫のように冷たい態度でアクアは舞衣をあしらった。
「マネージャーってマジかよ」
「アクア、相当その人が気に入ってんだ」
 撮影を終えて一段落しているイグニスとニクスも、驚いた様子で二人を見ていた。
 唯一出遅れたのは美知華だ。
(え……ま、ま、マネージャーって……ええっ?)
 笑顔で固まったまま、頭の中はしっかりパニック状態に陥っていた。
(私ただの広報なのに、アクアくんのマネージャーになるのッ? いやでも近藤さんが言っていた通り人事にも言わずにそんな簡単になれちゃうのッ? いやだけどアクアくんはけっこう本気だから断ったりしたら悲しむんじゃないのッ? っていうか推しのマネージャーとか命がいくつあっても足りないんじゃないのッ?)
 グルグルと思考回路が焼けきれそうになっている中、気付けばアクアが、音も無く至近距離へと迫っていた。
「美知華さん……」
「は、はひぃ」
 キラキラと輝くイケメン……しかも推しが、睫毛の長さまでバッチリ見えるほど近くにいる。
 それだけでもう、美知華は何も考えられなくなった。
「俺のマネージャーになるの、嫌?」
「い、いい嫌だなんてそんな、そんなわけ……」
「はい、じゃあ決まり! 美知華さんは俺のマネージャーね!」
 大喜びするアクアを前に、美知華はもう何も言えなくなった。
(嘘っ、ホントに? 本当に私、アクアくんのマネージャーになっちゃったの?)
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