男嫌いと噂の美人秘書はエリート副社長に一夜から始まる恋に落とされる。
「お見合い、するんですか?」

 どこか前のめりになった彼に、圧された。身体を後ろに倒してしまう。

「そ、そのつもりはないです! だって、私には理想のタイプがあって……」

 そうだ。理想の人以外と添い遂げるなんて考えたくない!

 ……これがこじらせ女と言わずして、なんというのか。頭の中に自虐的な考えが浮かぶ。

「どんな人が理想ですか?」
「そ、それ、聞いてどうするのですか……?」
「……好奇心です」

 彼の視線が私から逸らされた。気まずそうだった。

「もしも知り合いにいたら、紹介できるかなって思って」

 どこかさみしそうな瞳に、私の母性本能が一気に刺激されてしまう。

 い、言うだけだから。他意はないから!

「馬鹿にしないでくださいよ」
「えぇ」
「……私、昔からたくましい男の人が好きなんです」

 丞さんの顔をまっすぐに見ることができない。

「簡単に言うと、王子さまとかじゃなくて、騎士にあこがれるタイプです。頼りがいがあって、守ってくれそうな人」

 そのせいでこの年までこじらせたことは、言わなくてもわかるだろう。

「スポーツマンとか、好きなんです。けど、私、容姿のせいなのか軽い人にしか相手にされなくて」

 本当に本当に不本意なのだけど!

「精悍な顔立ちで、たくましい身体を持つ人がいいんです」

 ちらりと丞さんを上目づかいで見ると――彼は呆然としていた。
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