強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「今は獅子堂開発の顧問弁護士をしてるんだ。こんなところで会うなんて奇遇だな」
「そうですね」
 咲弥は顔いっぱいに笑みを浮かべた。

 スーツを着て眼鏡をかけた彼は理知的で、やり手の弁護士然としていた。長めの前髪が斜めに分けられていて、ピシッと整えられた後ろ髪との対比で妙に色っぽい。

「ふうん。そんな顔もするんだ」
 不機嫌に悠雅が言う。
「悠雅には違うんだ?」
「まったく」
 からかうような泰輔に、悠雅が不満そうに答える。
 咲弥の疑問を含んだ視線に気づいた泰輔が苦笑した。

「俺たち大学の同級生なんだよ」
 泰輔は悠雅の肩に肘を載せる。
 二人とも背が高く顔が整っているので、まるでモデル二人がいるかのようだった。

「悠雅さん!」
 若い女性の声がした。
 ミニ丈のドレスを着た少女がパーっと走って来て、飛びつくように悠雅に抱き着く。

 咲弥はドン引きした。人前でそんなことをするなんて。
 というか、抱きつくってことは、近しい関係だろうし、だということは。
 笑顔を咲かせた彼女を見る。まだ高校生くらいに見えた。
 悠雅を見る。確か33歳。

 ロリコンか。
 咲弥はさらにドン引きした。

 一瞬でも彼にときめいた自分を呪った。
 未成年と肉体関係を持っているなら犯罪だから捕まえたいところだが、証拠がない。清い交際ならば法律上は禁止されていない。
 やきもきして二人を見守る。

(みやこ)、結局来たのか」
 悠雅は彼女の頭を撫でて言った。
「あのときの刑事さんが来るって聞いたから! どちらなの?」
「目の前にいるよ」
 悠雅が苦笑すると、京は驚愕して咲弥を見た。
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