強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
 面白がるなんて。本当に絶対に、この男、嫌だ!
「飲み物くらいはいいだろう? ノンアルコールのシャンパンだ」
 彼は給仕からグラスを二つ受け取り、一つを彼女に渡す。
 咲弥は仕方なく受け取り、一口飲んだ。乾いた喉に、炭酸がシュワッと沁みた。

「今日は君のおかげか、女性からのアプローチが少なくて済んだ。助かったよ。断るのも大変なんだ」
 突然の言葉に、咲弥は目をまたたいた。

「モテ自慢にしか聞こえないですよ」
「自慢ではないんだがな。身長差アピールがないのも助かる」

「なんですか、それ」
「背、高いですね、と、いかに自分が小柄でかわいらしいかをアピールされる。うっとおしくてかなわん。俺から見ればたいていの女性は小さい。だからなんだと言いたくなる。さらに、下を見て話していると首が疲れる」

「そういう苦労もあるんですね」
 なんだかちょっとだけ同情した。

「君なら話すにもちょうどいい。これからも隣にいてくれ」
「警察は暇じゃないんで無理です」
 冷たく答えると、悠雅は苦笑した。



 結局、レセプションの最中にはなにも起きなかった。無事に終了時刻を迎え、会場はお開きとなった。
 咲弥はホッとした。

「帰りに食事でもどうだ」
「あなたを家に送り届けるまでは仕事なので」

「部屋で食事をするってことでいいか?」
「そうじゃないです」
 悠雅はクッと笑った。なにがおもしろいんだ、と咲弥はむしゃくしゃした。

「なんとか無事に終わりましたね!」
 諒也がにこにこしながら来た。

「あなたね! 仕事中にあんなに食べて」
「毒見だよ」
 悪びれる様子もなく諒也が答える。
 咲弥はがくりと肩を落とした。
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