強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「あとは送るだけだね」
「それなら咲弥さんだけでいいだろう」
 咲弥は驚いて悠雅を見た。
 急に名前呼びになった。

「あれ? そういう感じ? 僕、お邪魔だね」
「仕事! きちんとして!」
「許可貰ってきてあげるよ」
 諒也はうひひ、と笑ってすぐに県警本部の人に話をしに行く。

「なにを言う気よ!」
 咲弥が追いつくより先に諒也は話を終えて戻って来た。
「大丈夫だろうから咲弥さんが一人で送っていいって。ごゆっくり!」
 咲弥はあんぐりと口を開けた。
 悠雅はククッと笑ってしまい、咲弥ににらまれた。



 慣れないドレス姿のまま、運転手つきの黒塗りの車に乗った。
 そのまま悠雅のマンションの下に着く。
 二人が車を降りると、車は発進した。
 エントランスの前で悠雅は立ち止まった。

「送るのはここまででいい」
「玄関に入るところまで確認させてください」
「俺の部屋に来たい、ってことかな?」
「違います!」
 速攻で否定するが、悠雅は面白そうに笑みを浮かべる。
 咲弥は不機嫌を隠さなかった。

「このあとは俺が君を家まで送ろう」
「送った意味がなくなります。おとなしく帰ってください」
「こんな時間に女を一人で帰せるわけないだろ。ここからはプライベート。男と女の時間だ」
「なんですか、それ」
 咲弥は熱くなる顔を伏せた。

「強気なわりに、こういうことに弱い。かわいいな」
「からかわないでください」
「泰輔とはどこまで行った?」
 泰輔の名前を出されて、咲弥は顔を上げた。なんで彼の名前が出て来るのかわからなかった。

「キスはしたのか?」
「な、なんてこと言うんですか!」
 咲弥の頭に、かつてのことが蘇る。
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