強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「許せない。俺もキスするからな」
 悠雅が近付き、彼女の腰を抱く。
「なんでそうなるの!? そもそも、あなたには高校生の彼女がいるでしょ!」
 ロリコンの上に浮気症なんて最悪だ。

「は?」
 悠雅が驚いたように止まる。
「京のことか? ただの従妹だが」
「従妹」
 咲弥はなんだかホッとして、そんな自分に驚いた。なんでホッとしているんだ。

「実家が隣同士で実の兄妹のように育った。だからあのときにも俺が迎えに行ったんだ」
「……本当に?」
「刑事なら俺の証言が本当かどうか、見抜けるんじゃないのか?」
 挑むような目に、咲弥はむっと見返す。

 悠雅はそのまま顔を近付けて来て、咲弥はじりじりと後退した。
 柱が背にあたる。悠雅は柱に手をついて咲弥に迫る。

 どどど、どうしよう!
 動揺してしまい、逮捕術も柔術もなにもかも頭から吹き飛んでしまっていた。

「本当にかわいいな」
 キスをするために悠雅が顔を傾けたときだった。

 バーン!
 轟音が響いて、柱の一角になにかが当たった。

 咲弥はとっさに悠雅の手を引いて柱の裏に隠れた。
「今の、銃声か?」
「そうね」
 咲弥はすばやく周囲を確認する。

 今となっては、予告はフェイクだったのだとわかる。予告をいたずらだと思わせて油断したところを狙うつもりだったのだろう。
 命を狙うだけなら予告は必要なかっただろう。脅しの効果を上げるために予告をしたのかもしれない。

 銃の携帯は許可されていなかったから咲弥は持っていない。
 柱からエントランスまではほんの数メートルだが、自動ドアのロックを解除する間に撃たれるかもしれない。中に避難するのは良策とは思えなかった。

 近くの植え込みに隠れたほうがまだ敵の目をごまかせそうだ。
「敵の数もわかりません。あちらに」
 咲弥が言いかけたときだった。
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