強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「あ、雛川さーん!」
 手を振って、京が現れた。
「来るな!」
 悠雅が叫んで飛び出した。

「ダメです!」
 彼を追い掛け、咲弥も飛び出した。
 ヒールを脱いではだしで駆け付ける。

「え? なに?」
 驚く京を悠雅がかばう。咲弥はその二人を突き飛ばすようにして伏せさせた。
 銃声が響くのはほぼ同時だった。
 銃弾は咲弥の左肩を掠めた。

「雛川さん!?」
 京が悲鳴のような声を上げる。
「110番通報してください!」
 咲弥の叫びで、悠雅はすぐにスマホを取り出す。

 咲弥は悠雅と京をつれてマンションの生垣に寄った。
「じっとして」
 咲弥は京にかぶさり、周囲の様子を伺った。

 銃声の近さから、おそらく拳銃での狙撃。
 回転式拳銃なら6発ほど、自動拳銃なら8発前後、物によっては15発程度。射程距離から考えて、そばにいる可能性が高い。移動してまた狙ってくるかもしれない。

「ケガを見せろ」
「かすり傷よ。平気」
「こんなに血が出て、平気なわけがあるか」

 肩からだらだらと流れる血で、黒いドレスに沁みができていた。
 悠雅はハンカチを取り出し、彼女の傷口に当てた。
 遠くからパトカーのサイレンが聞こえて来た。

「ああ、警察が来てくれた」
 京はぐすっと鼻をすすった。それはすぐにしゃくりあげるような泣き声に変わる。
 咲弥はまだ油断なく周囲をうかがう。
 パトカーが何台も到着し、何人もの警官が現れ、辺りは騒然となった。
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