強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
咲弥は救急車で運ばれ、悠雅が付き添った。
彼が付き添うと主張して譲らないから、咲弥があきらめた。
手当を終えた咲弥が診察室を出て来ると、悠雅は椅子から立ち上がった。
「警護対象者に病院に付き添ってもらうなんて、有り得ない気がする」
咲弥がつぶやくと、悠雅は咲弥を抱きしめた。
「すまない」
「離してください!」
慌ててもがくと、傷がずきっと痛んだ。
「甘く見ていた。状況を見極められず、君にケガをさせてしまった」
彼の殊勝な言葉に、咲弥は抵抗をやめた。
「俺のことはどうとでもなると思っていた。あそこに京が来るなんて計算外だった。俺のミスだ」
「あなたのせいではないし、もちろん京さんのせいでもないです」
「しかし」
「悪いのは犯罪者です。間違えてはいけません」
咲弥はきっぱりと言い切った。
「……強いな」
悠雅は眩しそうに目を細めた。
「京は君に会いたいがあまりに俺のマンションで待ち伏せしていたそうだ。君は彼女と俺の命の恩人だ。礼を言う」
「だったらすぐに離してください」
「嫌だ。どうしてもというなら、自慢の逮捕術でどうにかしたらどうだ」
「ケンカ売ってますよね」
「俺のせいでケガをさせた。責任をとって結婚しよう」
咲弥はあきれた。
「どうせ女性全員にそういうこと言って口説いてるんでしょ!」
「偏見も甚だしい。君は男性不信か?」
咲弥は言葉につまった。
子供のころから背が高い彼女は、実年齢より上に見られて痴漢によく遭った。さらに、背の高いことで男性にからかわれ続けた。それで男性すべてが敵のように思えているところがある。
「まあいい。俺を信じてもらえばいいだけだからな」
悠雅が耳元で囁いた。
「なんでそんな自信あるんですか」
うんざりと、咲弥はこぼした。