強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
翌日、咲弥は定時に出勤した。
「聞きましたよ。肩、大丈夫ですか?」
出勤するなり、潤香に見つかってきかれた。
「大丈夫」
「刑事って大変! 尊敬します」
ウルウルとした目で見上げられ、咲弥はたじろいだ。
「どうして刑事課に?」
「心配で待ってたんですよ!」
「ありがとう」
咲弥はひきつった顔で礼を述べた。なんだかからむために来ているとしか思えなかった。
「撃たれるなんて迷惑な。労災じゃねえか」
課長の久之がこぼす。
「防犯カメラの映像を見たが、お前、なんだあれ。警護にかこつけて男に迫るとか、必死過ぎだろ、淫乱」
「そんなことしてません!」
咲弥は怒りに肩を震わせた。怒りすぎて、なにも言葉が出て来ない。
いっそ殴ってやろうか。だが、警官としてそれはしてはいけないことだ。
ぐっと拳を握って耐えた。
「市民を守った部下に対する言葉がそれか」
いるはずのない人の声が聞こえて、咲弥は驚いて振り向いた。
悠雅が鋭い目で久之を睨んでいた。隣には泰輔がいる。
「私も聞きましたよ。弁護士として、見過ごしてはいけないような気がしますね」
泰輔が言う。
「し、獅子堂さん!」
久之が慌てて立ち上がる。
「わざわざお越しいただきまして」
「俺の聴取はあんたにだけはやってもらいたくないものだな」
「それは……」
久之はもごもごと言い淀み、力なく椅子に座り直した。
昨夜の事件の聴取を終えた悠雅と目が合うと、来てくれ、と目で合図された。
嫌な予感がしたものの、念のために彼のそばにいく。
「連絡先をきいていなかった。教えてくれ」
「必要ないです」