強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「緊急で連絡が必要なこともあるだろう」
「通報してください。そのほうが早いです」
 ぴしゃりと言い切ると、隣にいた泰輔が笑った。

「笑う所じゃないですよ」
 よりによって泰輔さんの前でこんな会話をすることになるなんて。
 咲弥はふてくされてうつむいた。

「私が御曹司に色目を使ったって噂になってるんです。もう関わらないでください」
 防犯カメラの映像はどれだけの人が見たのだろう。恥ずかしくてたまらない。笑いものになっているかもしれない。

「それは訂正しなくてはならないな」
 珍しく咲弥の意を汲んだような発言に、咲弥は驚いた。

「口説いているのは俺だからな」
「やめてください」
 まったく自分の意を汲んでくれていないことに、がっかりした。

「君が俺のものだと知らしめるにはちょうどいいだろう?」
 悠雅は薄く笑った。
「もうほんと、いい加減にして。人で遊ばないでください」
 うんざりと言うと、悠雅に手を掴まれた。

「遊びじゃない。本気で言っている」
 まっすぐに見つめられ、咲弥はうろたえて泰輔を見た。
 が、泰輔はにこやかに微笑しているだけで、咲弥を助けてはくれない。

 悠雅のスマホが鳴り、彼は残念そうに咲弥から手を離した。
 少し離れたところで電話に出る。

「実際、彼とはどういう仲なの?」
 泰輔が咲弥に聞く。
「どうって……からかわれてます」
「ずいぶんと仲が良さそうで、妬けるよ」
「え?」
 咲弥は耳を疑った。

 やけるって、嫉妬ってこと? 誰が、誰に?
 混乱する咲弥に、さらに泰輔は言う。

「今回の件、半グレ集団が犯人じゃないかと思うんだ」
 咲弥はハッと表情を引き締めた。
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