強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「この車は防弾仕様だ。中のほうが安全だ」
「だけど」
 おそらくは犯人がすぐそこにいる。早く捕まえたい。

「ケガをしているだろう。犯人と格闘になったら負ける」
「だけど!」
「結局、僕はどうしたら」
「通報を」
 言われて、諒也はすぐさまスマホで応援を呼ぶ。

 黒いバンから三人の男が降りて来た。白いのっぺりした仮面をつけていて、鉄パイプを持っている。ドライバーは車に残ったままだ。
 男たちは鉄パイプで車を殴り始める。
 窓を割ろうとするが、ヒビが入るだけで割れはしない。

 犯人が目の前にいるのになにもできないなんて。
 咲弥はいらいらと男たちを睨む。
「銃は使わないようだな」
 確認するように言い、悠雅は車を降りた。

「ちょっと!」
 慌てて咲弥も車を降りる。
 男たちはすぐに悠雅を取り囲んだ。
 言葉もなく、鉄パイプを振り下ろす。

 悠雅はさっと避けて、男のあごに掌底(しょうてい)をくらわせる。
 男はふっとんで、動かなくなった。脳震盪を起こしたのだ。

「この!」
 残りの二人が同時に鉄パイプを振り下ろす。
 が、悠雅はそれも避けて一人の金的を蹴り上げる。

「うぐ!」
 声をあげて悶絶する男に構わず、三人目の喉に手刀を見舞う。男は倒れ、苦しむ。

 咲弥が動く暇はなかった。
 黒いバンが悠雅に突進してきた。

「危ない!」
 咲弥の叫びに、悠雅は飛び退く。
 バンは悠雅が乗って来た車にぶつかった。
 バックすると、襲撃者たちは気絶した男を両側から抱えて車に乗りこんだ。
 すぐに発進して、街並みの中へと消えていく。
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