強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「市長に会うのは中止してください」
 咲弥がにらむようにして言うと、悠雅が肩をすくめた。
「車がこのありさまではな」

「無茶しないでください。場合によっては暴行罪ですよ」
「汚名返上ができたかと思ったが、怒られるのか。正当防衛なのに」
 悠雅は苦笑した。

「場合によっては過剰防衛ですよ。空手は金的も喉も攻撃しちゃダメですよね?」
「ケンカにルールはないからな。泰輔に教わったよ」
「泰輔さんに」
 彼は元ヤクザの息子なだけあって、それなりに修羅場をくぐってきている。彼は語らなかったが、咲弥は父から聞いて知っていた。

「仕事にも支障が出る。さっさと片を付けたいな」
「捜査はしています。警察は必ずあなたを守ります」
 咲弥が断言すると、悠雅は目を細めた。

「君がつききりで守ってくれるとうれしいが」
 当たり前のように悠雅は咲弥の腰を抱く。
 咲弥はさっと離れた。

「私があなたの警護にまわされたのは、圧力をかけたの?」
「俺はなにもしてないが。気の利いた人が察してくれたのかもな」
「最悪!」
 咲弥が言うと、悠雅はまたクッと笑った。



 悠雅は現場に到着した警官からの聞き取りを受けたのち、パトカーで本社ビルに護送された。
 警察署に戻った咲弥たちは、襲撃の報告書を作成した。

 襲撃に使われた車は盗難車だろうということだった。Nシステムでゆくえを追っているが、まだ見つかってはいない。
 襲撃された車のドライブレコーダーに襲撃者は映っているが、顔はお面のせいで映っていない。

「僕、心配なんだけど」
 ノートパソコンを打つ手を止めて、諒也は隣の席の咲弥に言う。
「なにが」
「警備情報、もれてない?」
 咲弥は手を止めて彼を見た。
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