強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「社長の行動なんて社外の人は知らないよねえ。秘書からもらった社長の予定、警察は把握してるけど」
「漏れてるなら会社からでしょ。第一、予定を知らなくても見張って尾行して襲撃のタイミングを計るくらいするでしょ」
 咲弥は顔をしかめた。

「警護にケガ人の雛川さんをつけるのもおかしいよ。襲ってくれといわんばかりで」
「それは気になってた」

「獅子堂さん、再開発で半グレの根城を消して恨まれてるんじゃない?」
「それも考慮して襲撃犯の捜査はされてるわ。でも再開発に反対してるのは半グレだけじゃないわよ」

「半グレの管理売春も、捜査情報が漏れてる感じでしたよね」
 諒也の言葉に、咲弥の背筋がぞわっとした。

「それ、大丈夫なんですか?」
 突然、声が割って入った。
 ばっと振り返ると、潤香が興味津々に二人を覗き込んでいた。

「いつからそこに」
「今さっきですけど」
「なにしに来たの?」
「咲弥さんがまた襲われたって聞いて、大丈夫かなあって」
 潤香はそう言って咲弥をのぞきこむ。

「大丈夫ですから」
 咲弥はノートパソコンに向き直る。
「私にできることがあったらいつでも言ってくださいね」
 潤香は優しい言葉を残し、去って行く。

 咲弥はいぶかしく思いながら彼女の後ろ姿を見送る。
 彼女は事務なのに頻繁に刑事課を訪れる。
 今みたいに気が付いたら後ろにいることもある。
 管理売春の摘発の準備をしていたときにも、しょっちゅう刑事課に来ていた。

 まさか、ね。
 咲弥は報告書の作成に戻った。が、胸に生まれたもやもやは晴れないまま、残った。



 襲撃以外の報告書の作成も終え、帰ろうとしたときだった。
 刑事課の電話が鳴って、諒也がとった。
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