強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「はい、刑事課です」
 なにか事件だろうか。
 気になって、咲弥はそのまま待った。

「不審者が……はい、はい」
 諒也は電話を受けながら咲弥を見る。
「では画像をメールで送ってください」
 そう言って電話を切る。
 諒也はすぐに課長に報告した。

「駅前の取り壊し予定のビルに、不審者です。ゼコムから連絡がありました」
 獅子堂が再開発のために買ったビルだ。しばらく前までは半グレが根城にしていた。女の子たちに客待ちをさせていたのもこのビルの付近だ。

 ゼコムはセキュリティードローンで定期的に敷地内を監視しており、そのドローンが不審者を撮影したと言う。
 御曹司襲撃のあと、ビルの警備をゼコムがしていると知り、警察は協力を要請していた。不審なことがあればすぐに連絡をくれるように、と。だから今回、通報が早かったのだ。

「メール、届いたわ」
 咲弥が画像をパソコンで開く。と、そこには信じられない人物がいた。

「菜原さん!?」
「彼女がどうして」
 咲弥は驚いたが、すぐに席を立つ。ほかの刑事たちは出払っている。

「課長、私たちが行ってきます」
「わかった」
 咲弥と諒也は車で現地に向かった。



 ビルに到着したとき、二人のスマホが震えた。
 スマホを見た咲弥と諒也は顔を見合わせた。
 署から届いた画像で、潤香が半グレと思しき六人の男性と正対していた。

「これ、どういう状況なんでしょう」
「わからないわ。このあとドローンが撃たれて破壊されたらしいって書いてあるけど」
 咲弥は顔を険しくした。
 彼らは銃を持っている疑いがあるし、人を襲うことに迷いがない。

 せめて防弾チョッキでもあれば。
 なにか武器になるものはないか、とポケットをさぐると固いものに触った。
 取り出して、顔をしかめる。
「あのバカ御曹司!」
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