強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「こいつ、ほんとに警察か?」
「弱っちいな」
 けらけらと男たちは笑う。

 五人の男がいた。派手な服装と髪型をしている。縛られた潤香をどこかへ連れて行こうとしているようだった。
 写真には六人だった。あと一人が見当たらない。

 とにかく諒也に連絡を、とスマホを取り出したときだった。
 後ろから背を蹴られ、咲弥は地面に倒れた。その背を踏みつけられ、起きられない。

「しっかり見張れよ」
「キング!」
「こいつも連れて行くか。縛れ」
「雛川さん!」
 潤香が叫ぶ。
 咲弥は抵抗を試みるが、ケガをした肩を蹴られ、うめく。

「抵抗したら撃つぞ」
 キングと呼ばれた男が銃を取り出して言った。
 銃口は潤香を向いていて、だから咲弥は抵抗をあきらめた。
 縛られた咲弥は、潤香と一緒に床に転がされた。

 キングと呼ばれた男は黒い革ジャンに黒い革のボトムを穿いていた。ほかの男と格が違うと言いたげな服装だと、咲弥は思った。

「菜原さん、どうしてここに」
「……犯人の手掛かりがなにかないかな、って」
 泣きそうな声で潤香は言った。

「なんでそんなこと」
「雛川さんの役に立ちたくて。このビルはたまり場だったって聞いたから」
 咲弥はあきれた。事務の彼女にいったいなにができるというのだろう。

 駐車場にはライトをつけたままの黒いバンが止まっていた。
 この前とは違うバンのようだった。
 これも盗難車か、と咲弥はにらむように見る。

「この女たち、どうします?」
「売る。警察に恨みを持ってるやつは多い。そいつらに引き渡したら面白いことになるだろうなあ」
 キングの言葉に、男たちは笑った。
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