強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
 どうしてこんなところに、と疑問に思うが、警察署で見かけた顔だと思い出した。
 なにか起きたのか。
 まさか、と悠雅はスマホを取り出した。操作して画面に映るそれを確認し、彼は泰輔を見た。

「咲弥さんがあの廃ビルに来ている。ほかの警察職員もなぜかいるが」
「なにかあったかな」
「半グレたちも来ているだろう。さっきの計画、さっそく使うぞ」
「……マジで」
 泰輔は苦笑いを浮かべた。



 悠雅はジュラルミンケースに一億をつめこんだ。
 泰輔とともに車に乗り、侵入者があったというビルに向かう。
 途中、セキュリティドローンが破壊されたという連絡と、女性が男たちと正対している写真が届いた。

 地下駐車場への入口はなぜか開放されていた。
 やはり半グレの侵入があったのだ。

 到着して、驚いた。
 咲弥が縛られて転がされている。
 怒りで血が沸騰しそうだった。

 当初、独自に彼らを捕まえる予定だった。警察の対応では遅すぎる。さっさと片を付けたかった。
 出て行くなら一億やる。
 そう言えば、金欲しさに彼らは姿を現すだろう。そこを捕まえる予定だった。

 だが今は咲弥たちを助けるのが優先だ。
 だから、彼女らを解放して出て行くなら、とお金を見せた。
 彼らがお金に気をとられている隙に煙幕を張り、ライトを消した。
 バンのライトは泰輔が割った。

 暗闇にサングラスを捨て、悠雅と泰輔は男たちに駆け寄った。
 男たちは車のライトのせいで暗闇に目が慣れていない。

 悠雅は手近な男の鳩尾に正拳をくらわせて、気絶させる。
 泰輔は迷いなく一人の金的を蹴った。男はうめいて、うずくまる。

 そのときだった。
「動くな!」
 叫びとともに銃声が響く。
 悠雅は舌打ちした。
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