強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「課長は管理売春の客だったのですか」
 フロアに響く声で、咲弥は聞く。
「ふざけたことを言うな」
「復元されたリストに課長の名前があります。かなりのリピーターだったようですね」
 ノートパソコンの画面を課長に見せる。

「名前は消したはずだ、なぜ……」
 呟いて、久之はハッとする。
 刑事課にいる全員が彼を見ていた。

「ち、違う、なにかの間違いだ!」
 久之は声を張り上げ、咲弥が持っているノートパソコンを取り上げる。と、床にたたきつけて壊した。

「データは鑑識に残ってますよ」
 指摘する咲弥の声は冷たい。

「捜査情報を漏らして摘発から彼らを逃がしたのは課長ですね? 警察だと知られて彼らから脅されましたか?」
「違うって言ってるだろうが!」
 久之は大声で否定する。
 だが、刑事課の刑事たちの目は険しくなる一方だ。

「私と初間さんを護衛として本部に薦めて、捜査を遅らせようとしましたよね」
「詳しく聞かせてもらわないといけませんね」
 諒也が咲弥の隣に並ぶ。

「お前ら、上司に向かって!」
 久之は席を立って咲弥に殴りかかる。
 咲弥はその腕をつかんで一本背負いを決めた。直後、久之をうつぶせに地面に押し付けて両腕を拘束し、その背に乗る。

「おとなしくしなさい!」
「さすが、県警トップクラスの逮捕術!」
 諒也が手を叩いた。

「くそ、離せ! 暴行の現行犯だ!」
「器物損壊に暴行未遂ですね。僕、見ましたよ」
 諒也が言う。

「俺も見た」
「私も見た」
 同僚が次々と言う。

「お前ら……!」
 刑事たちに取り囲まれ、見下ろされ、久之は観念したようにがくっと首を垂れた。
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