強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「どういたしまして」
 悠雅は笑うように答えた。
 てれくさくて、咲弥は無言でサンドイッチにかじりついた。

***

 仕事からの帰り、泰輔は夜空を見上げた。
 都会の空に星は見えない。
 今夜、悠雅は星がきれいな場所に咲弥を連れて行くと言っていた。

 男性に対しては嫌悪を示す彼女が、悠雅に対してはなぜか打ち解けているように見えた。

 彼女のもとを去ってからずっと、心の中には彼女がいた。
 だが、自分は彼女にはふさわしくない存在だ。

 悠雅なら彼女を幸せにしてくれるだろう。
 やっと気持ちにケリをつけられそうだ。
 彼は微笑を浮かべ、歩き始めた。

***

 悠雅は車を走らせ、海岸の崖に彼女を連れて行った。
 車を降りると、夜風が肌に爽やかだった。
 灯台の光がきらりと光って通りすぎる。
「ここは星が綺麗に見えるんだそうだ」
 咲弥の隣に並んだ彼はそう言った。

 見上げると、確かにたくさんの星が瞬くのがはっきりと見えた。暗い空にちかちかとまたたくそれらを見ていると、不思議と心が凪いでいく。響く波の音もまた、心地いい。

「告白に最適な場所らしいぞ」
「罪の自白ですか?」
「告白の種類が違うだろ」
 悠雅はクッと喉を鳴らして笑った。

「それで、泰輔さんの話って」
「そんなこと言ったっけ?」
 いたずらっぽく彼は笑う。

「嘘ついたの!?」
「泰輔の名前を出すとあっさり騙されるんだな。それだけあいつが大切ってことか」
「言ったでしょ、兄みたいだったって」
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