強引な御曹司社長は色気のない女刑事にご執心!
「あいつのこと好きなわけじゃないんだな?」
「さっきからなに」
 咲弥が怒ったように言うと、悠雅は微笑を浮かべた。

「君が好きだ。つきあってほしい」
「はあ!?」
 唐突な発言に咲弥は声をあげた。

「初めて見たときから気になっていた。脅迫メールの件で再会して、すっかり君が好きになった」
「いつどこで好きになるポイントがあったのか、さっぱりわからない」
「君に理解してもらう必要性を感じないな」
 悠雅は笑みを浮かべたままだ。

「それでも説明が必要なら言うが……一目惚れだな」
「うさんくさい」
 咲弥は顔をしかめて悠雅を見る。
 悠雅はクッと笑って、初めて会った時を思い出した。

***

 悠雅が警察署で初めて会ったとき、咲弥はチンピラに絡まれた京に付き添っていた。
 その目は優しく京を見ていたが、同時に怒りに燃えていた。

 美しい、と一目見て思った。
 姿形で言うなら、彼女より美しい女性たちはいくらでも見て来た。化粧し、飾り立てた女性たちは、手入れされた温室の花々のように咲き誇っていた。

 だが、彼女は違う。強い日差しに灼かれ、嵐の夜を超え、野山に凛と咲く野薔薇。そんな力強さを感じた。

 強い使命に燃えた、命の輝きを映した瞳。

 それが心に焼き付いて離れなかった。
 こんなのは恋じゃない、と自分に言い聞かせていた。
 だが、ずっと忘れられずに彼の胸をうずかせた。

 一年ぶりに偶然会った彼女の瞳は同じように強かった。
 離してはならない。彼は強く思った。
 彼女を手に入れなかったら、一生を後悔して過ごすことになる。

***

「俺は自分で言うのもなんだが、モテる。だが、初めて会ったとき君は俺など眼中になく、京を心ごと守ろうと必死だった」
「そんなの、警察官として当たり前です」
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