弟は離れることを、ゆるさない
ありきたりかもしれないけれど、思いつく疑問を投げかけていくことにした。
「葵、学校はどう?楽しい?学年違うから分からなくて」
「まあ、普通」
「――で、でも葵凄くモテてるよね。私の友達も葵のこと、『1年でモテてる皇くん』って知ってるよ」
「……ふーん」
「葵も困っちゃうよね、私みたいな可愛くもない女が姉で」
「……なにそれ。返事に困るんだけど」
葵はサラダを食べていた手を止め、私にちらっと視線を移した。
葵からしてみたら困ることだと分かっているのに、不安な気持ちが止まらない。
「私、モテないから。カレシもいたことないし……」
「……ほしいのかよ、カレシ」
「誰かを一途に想いたいの。葵はいるの?そういう人」
葵が今誰に想いを寄せているのか知りたかった。