弟は離れることを、ゆるさない
女の体なんて見慣れているはずなのに、新鮮で。琴音の体を見て、初めて女の体が綺麗だと思えた。
もう琴音じゃない、他の女の体は見たくない。
ずっと俺の記憶に残しておきたかった。それだけでよかったはずなのに、琴音が合コンに行くと知って耐えられなかった。
カレシを作って、俺が知らない男に抱かれる姿を想像してみると、いてもたってもいられなかった。
今まで抱いていた女を理由に琴音を引き止める。
散々とっかえひっかえ女を抱いておいて、自分勝手なことを言っていると分かってる。
それでも俺は琴音を手に入れたい。
可哀想なヤツだと、どうしようもないヤツだと思われてもいい。なんでもいいから、何かを理由に琴音の心が動いてほしいと願った。
「好きな人を作ってもいい。カレシも作ってもいい。もう三年前のように邪魔はしない。だから、夜だけ俺の相手して」
琴音は戸惑いながらも、悲しそうな目で『分かった』と頷いた。
俺を受け入れる決意をしてくれた。