弟は離れることを、ゆるさない
「琴音、ちゃんと俺を見て」
「ーーやだ」
「俺で感じてるって分かって」
「やだあ……」
力いっぱい目を瞑り、俺を見ようとしない。琴音の首には今朝、俺が噛んだ痕が残っていた。その上から被せるようにおもいっきり吸い付きキスマークをつける。
「痛……葵、なにしたの」
痛さで反応してくれた。
無意識でもいい。やっと俺を見てくれたことが嬉しくて、首以外の鎖骨辺りにも痕をつけていく。
もし、俺以外の男が琴音の体を見てしまったとき、びっくりするくらいに痕を付けてやりたい。吸って舐めてを繰り返していると、
「ーーも、もう、そんなのいいから。早く終わらせて……」
琴音は俺の髪をわしゃっと握りツラそうに声を出す。
「早く終わらせるわけないだろ。いいか、琴音。これから親がいてもこういうことするから」
「ーーっ、え……? なに、言ってるの……」
「琴音にはしられてしまってたけど、今まで親がいない時間帯は別の女を連れ込めたんだ。それなら、親がいない時間帯はこういうこと嫌っつーほどできるだろ」