弟は離れることを、ゆるさない
「違う、たまたま……」
また、体に力を入れる琴音。せっかく解いていく緊張も体に力を入れられる度に戻ってしまう。
琴音は震えながら口を開いた。
「わ、私……今日合コンで悠生くんと仲良くなったの……」
男の名前に心情がピリつく。
「へぇ」
「葵と同じ塾の……帯刀悠生くん……覚えてる?」
――帯刀悠生。
塾に通っていた時、俺と仲良くなりたいとか言って、よく喋りかけてきたヤツだ。根はいいヤツで、派手なヤツらとも地味なヤツらとも、皆と仲良くなれそうな爽やかなヤツだっだ。
俺はそんな胡散臭いアイツが大嫌いだった。
「……ああ、覚えてる」
低い声で琴音の質問に答えると、琴音はすかさず言葉を続けた。
「私、恋愛したいの……悠生くんと、恋愛したい……恋人になりたい……」
…………は?